最新更新日:2024/09/20 | |
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トム・ソーヤ理論子どもの頃何度も読み返した名作です。作者のマーク・トウェイン自身や周囲の人々に起きた,あるいは経験した,ほぼ実話に近い物語だという点が,ワクワクするような想像力をかき立てるのかもしれません。 トムはいたずらっ子で遊びたい盛りの少年です。伯母さんの言いつけなど聞かず,目を盗んでは宿題や家の手伝いもせず遊びに出かけます。ある日,伯母さんにつかまってしまい,塀のペンキ塗りを命じられました。仕方なく嫌々ペンキを塗っていたトムですが,友だちがやってくると途端に熱心に脇目も振らずペンキを塗り始めます。 「なんだトム,ペンキ塗りをさせられているのか。可哀想に。」 一心不乱,黙々とペンキを塗るトム。友だちが話しかけても知らん顔しています。とうとう友だちが、少し代わってほしい,ペンキ塗りをさせてほしいと頼みますが, 「僕が伯母さんに頼まれた仕事なんだ。僕でないとできない仕事だからね。君にさせたら僕が怒られちゃう。」 と断ります。 ついに,このリンゴをあげるからやらせてくれ,と友だちに頼まれたトム。仕方なさそうに友だちにペンキ塗りを譲り,彼は木陰でリンゴを食べながらのんびり様子を眺めます。 友だちが通りかかるたびにトムは何回も繰り返し,木陰でおやつやら読書やら昼寝やらしている間に,あっという間に塀は美しく仕上がりました。伯母さんは驚き,喜び, 「トム,お前はやればできる子だと思っていたよ!何て素晴らしい仕事ぶりだろう!さあ,たくさん遊んでおいで。」 そう言って,トムにおやつをくれました。 この話,肝心なのは誰も不幸になっていないことです。いわゆる,WIN−WINの関係が成立しています。そこがトムの知恵のすごいところでしょう(悪知恵には違いありませんが)。 特に学ぶべきことは,トムがペンキ塗りという面白くない仕事に巧みに価値付けをしたことです。ただのペンキ塗りは,トムの価値付けによって,通りがかった友人たちにとって羨望の仕事になったのですから。 私たちの役割はそこにあると思います。学校生活で子どもたちが取り組む活動に,いかに素敵な価値を与えるか。国語科学習,給食,清掃活動,教室移動,体育科学習,健康観察,挨拶,整列,身だしなみ,社会科学習,連絡帳,係活動,運動会,式の椅子並べ…。それぞれの活動が子どもたちにとって光り輝く魅力的なものに見えれば,多少他のことを我慢しても喜んで取り組むでしょう。そういう準備,仕掛け,言葉かけを工夫すること,つまり「価値付け」ることこそが私たちが磨くべき教職員としての「基礎的・基本的な力」です。 |
広島市立似島学園小・中学校
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