最新更新日:2024/05/20
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学校再開にあたって

学校再開にあたって
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で毎日不安な日々を過ごされていることと思います。
 この事態が一日も早く収束し,子どもたちに平穏な学校生活,日常生活が戻ってくることを願うばかりです。
さて来週から久々に児童全員がそろって登校して来ることになりました。たいへんな喜びです。今は,ありふれた日常を過ごせることがどれだけ尊いのか,あらためて気づかされる日々でもあります。
 これからは,今まで以上に一日一日を大切にみんなで力を合わせて,生きる喜びを感じながら充実した学校生活にしてまいります。
今年度は,子どもたちはもとより保護者の皆様にも,引き続き御不自由や御不便をおかけすることも予想されます。
 どうぞ御理解御協力をよろしくお願いいたします。
  
 今,世の中は,医療関係の方々を始め,多くの皆様が非常に厳しい現実の真っ只中で懸命に戦ってくださっています。心からの感謝の気持ちを持ちつつ,同時に感染予防にも最大限の注意を払いながら日々を過ごしたいものです。

  (ずいぶん前に聞いたお話を思い出しながら)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 
母と子と,ひと枝のあじさい
 団地の小さな公園を彩るあじさいの鮮やかさを少し離れたベンチで楽しんでいたときのことです。
 「あっ,お花が落ちている。ねえ,お母さん,この花,折って捨てられてるんだから,持って帰って私の花瓶に差してあげてもいいでしょ?」
 通りかかった五歳くらいの女の子は,ひと枝のあじさいの花を拾い上げて,後ろから来る母親へ掲げて見せながら言いました。
 母親は,女の子の顔を笑顔で見つめながら,優しく答えました。
 「ええ,いいわよ。そのままじゃ,かわいそうだものね。お母さんは,あなたの花瓶に差してあげるのもいいけど,そこにいっぱい咲いているお花の中へ,そっと戻してあげるのもいいなあって思うけどどうかしら? そのお花,みんなと一緒にいたいのかもしれないでしょ?」
 「でも,みんなの中へ戻してあげても,このお花だけ,すぐ枯れちゃうよ」
 「そうね。いいわ,あなたのいいようになさい。そのお花が喜ぶのは,どっちかなあって,よく考えてごらんなさい。」
 女の子は,花を胸に抱くようにしたままです。
 母親は,その姿を優しいまなざしで見つめたままです。
 そして,二〜三分。また,会話が始まりました。私は何か素晴らしい劇でも観ているような気持ちになっていました。
 「このお花,このままじゃ,すぐ枯れてしまうでしょ。だから,やっぱりおうちに持って帰って,一生懸命かわいがってあげる。そしてね,枯れてしまわないうちに,また,ここへ持ってきて,みんなの中へ戻してあげる。いいでしょ?お母さん。」
 「ええ,いいわよ。あなたが,そのお花のことを優しく思ってあげたんだもの。すてきなことを考えたわね。」
 こうして母親と子は,ひと枝の花と一緒に帰っていきました。
 子の心を粗末にしない
 子どもに決して命令はしない。子ども自身が自由にゆっくり考える。そして,どこまでも子どもの思いを尊重しながら,花への思いやりの心を自然に深めさせ,最後には花の命についても気づかせた母親です。美しくてあたたかい言葉。深い心。それは,たとえようもないほど,慈愛にあふれたものでした。
 最も心をひかれるのは,五歳くらいと思われる小さな子の心をたった一分でも一度でも,決して粗末にすることのなかった母親の奥深い心が感じられることです。
 どんなときも,子どもの心を大切にすることを当たり前のこととし,さらに,命ある一人の人間の成長にかかわることの重みと責任をも,常に自分に言い聞かせてこられたのではないでしょうか。
 「子の心を大切にする」
 この言葉は,いつもどこでもよく耳にします。しかし現実には,自分の感情を抑えきれず,簡単にキレる,暴言,暴力,投げやりに走ってしまう子がますますの増えています。
 もし我が子が折られた花を持ち帰ったら,多くの場合
 「そんなもの早く捨てなさい」
 の一声かもしれません。これでは自分のどんな心が子どもの心に届けられるというのでしょうか。
 子どもが考えるのを,あたたかい心で待つ。しかし,これも実際には易しいことではないのです。子どもが何か言おうとすれば
 「何なの」「早く言いなさい」
 などと急き立てついには子どもに
 「もう,いいや。」
 と言わせてしまう。そしてせっかく,つながりかけていた自分と子の心を途切れさせてしまう。
 母親が最後に子どもに贈った
 「あなたが花のことを優しく思ってあげたんだもの。すてきなことを考えたわね。」
 という言葉は、愛に溢れた美しいものでした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 
 さて,読まれた皆さんは,どう感じられましたか?
 女の子は,花を家に持ち帰れる喜びよりも,母親が自分の心を理解し尊重してくれたことへの喜びの方が大きかったのかもしれませんね。
 子どもは,自分を愛してほしい人に認められていることを感じ取ることによって自分への自信を深めていきます。
 そして同時に,自分で気づかぬうちに他への愛をも深めていっているのだと思います。
 子どもたち一人一人にゆっくりと考えさせ,思いを尊重しながら,誰もが持っている優しい心をしっかりと育んでいく学校でありたいと, この大変な状況の中であるからこそ思うところです。

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