３月19日に行われた卒業証書授与式での式辞です。



日差しの温かさが増し　春の訪れを感じます。
ここ　草津小学校の体育館は　希望に胸をふくらませた卒業生が　集っています。

本日　教育振興会会長　平下　貴司　様をはじめ　ご来賓の皆様の　ご臨席を賜り
卒業証書授与式を　挙行できますことに　感謝すると共に　厚くお礼申し上げます。

草津小学校　第１３６回　卒業生の皆さん　　卒業おめでとう。

そして　今日まで卒業生を温かく見守り　育ててこられた　保護者の皆様。
今日の日を迎えられた喜びは　いかばかりかと　拝察します。
心より　　お祝い申しあげます。

皆さんは　これまでの六年間で　「強く　正しく　大らかに」　成長してきました。　
一人の人間として　正しい判断と　おおらかな心を　身につけました。
また　最高学年として　下級生に模範を示し　草津小学校に　よき伝統を残してくれました。
本当にありがとう。


今日　この時も　地球上では　戦争が続いています。
それだけでなく　新たな紛争が　起こりそうな地域もあります。
この数年　願うだけでは　平和は　手に入れられないことを　実感しています。
平和は　行動する力があって　初めて　実現できるものになっています。
今 皆さんが手にしている卒業証書は　平和公園の「原爆の子の像」に　捧げられた　折り鶴の再生紙で　作られています。
広島で学んだ者として　平和の尊さを伝えられる人になってほしい　という願いも　卒業証書に込められています。

さて　
だれでも　失敗することは嫌なことですが　皆さんは　これまで以上に　その経験が増えることでしょう。
そこで　「失敗」について考えてみます。

トーマス・エジソンが生み出した発明品の中に　電球があります。
彼が　電球を発明する際に　明るくなる部分　フィラメントの素材探しで　約二千回もの実験を行い　ようやく探し求める素材を発見できたと言われています。
科学者は　求めている結果に辿り着くため　幾度となく　実験を繰り返します。
失敗は　その過程で起きる一つの出来事で　むしろ　そこから次のステップにつながる　
彼らにとって　必要な経験だそうです。
失敗を通して「自分の目標に近づく」と考えることもできます。

もう一つ　失敗から　別の成功につながる　という例も有ります。
昔　強力な接着剤の発明をしていたところ　軽いものを接着でき　そして　きれいにはがれる接着剤ができたそうです。
これを活用した商品が　皆さんにとって身近な　付箋紙です。

これらのことから　失敗は　マイナスなことばかりではないと言えます。

ここで　皆さんに稲森和夫という　実業家の言葉を贈ります。

「世の中に失敗というものはない。
チャレンジしているうちは　失敗はない。
あきらめた時が失敗である。」

何事も　自分の心の持ちようで　その時の状況を　良くも悪くも捉えられます。
そんな　前向きな思いを持ち続ける人であってほしいと願っています。


最後に　草津小学校は　独自の「教育振興会」という組織があります。
町ぐるみで子どもを育てる　という素晴らしい　伝統を持った会です。
草津小学校区の地域の方々は　子どもを大切に思う心・願いを　もっていらっしゃいます。
そのことを忘れず　感謝の心を大切にして　成長することを　期待しています。


令和６年　３月　１９日
広島市立草津小学校長　　細川　洋