最新更新日:2024/04/25
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教育目標「夢や志をもち,ともに未来を切り拓く江波っ子の育成」

第121回卒業証書授与式「おめでとうございます」

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 本日、第121回卒業証書授与式がありました。卒業生97名全員に一人一人卒業証書を授与しました。
 卒業生保護者の皆様には、時間を短縮して行った、今回の卒業証書授与式にご理解・ご協力をいただき、誠にありがとうございました。
 また、1〜5年生保護者の皆様には、本日、休業日にしたことにご理解・ご協力いただき、誠にありがとうございました。
 おかげをもちまして、無事、卒業証書授与式を行うことができました。
 贈る言葉では次のような話をしました。

【学校長贈る言葉】
 やわらかな日差しに、桜のつぼみもふくらみ始め、春の訪れが感じられる季節となりました。
 本年度も、新型コロナウイルス感染症対策のため、例年とは違う形の卒業証書授与式となりました。来賓の皆様や在校生の出席も叶いませんでしたが、こうして、保護者の皆様のご出席をいただき、第121回卒業証書授与式を挙行できますことを、心より感謝申し上げます。
 来賓の皆様から、卒業生、そして保護者の皆様へお祝いの気持ちを伝えてくださいとのお言葉を賜っております。
 先程、卒業生の皆さん一人一人に卒業証書を授与しました。皆さんのしっかりとした態度、私はとても嬉しく、誇りに思います。
 小学校の全課程を修了し、江波小学校を旅立つ皆さん、卒業おめでとう。
 この卒業証書には、6年間の皆さんの努力とともに、これまで温かく見守ってくださったご家族や地域の方々、教え導いてくださった先生方の深い愛情が込められています。
 また、この卒業証書は、平和記念公園の「原爆の子の像」に捧げられた、折り鶴の再生紙で作られた卒業証書です。広島で育ち、広島の小学校で学び成長した皆さんには、この「折り鶴再生紙」の卒業証書に込められた、多くの人々の平和への願いをしっかり受け止めてほしいと思います。
 さて、卒業生の皆さん、皆さんは、この学校で、友達と学び合い、高め合い、認め合い、そして、一人一人が日々努力し、素晴らしい力を付けてきました。
 高学年となったこの2年間は、新型コロナウイルス感染症対策を取りながらの学校生活となりました。期待に胸を膨らませ高学年となった5年生。4月の途中から約1か月の臨時休校、そして分散登校を経て6月から学校が再開されました。コロナの収束を期待していましたが、6年生になっても感染拡大は続きました。3密を避け、人との距離も取り、様々な制約のある、我慢の学校生活となりました。マスクをした顔しか見ることができない2年間でした。
 そんな中でも皆さんは、前向きな気持ちをもち、自分たちに今できることは何かを考え、学校のリーダーとして、運動会、クラブ活動、委員会活動をはじめ、様々な場面で、先頭に立って下級生をリードする、頼もしく、そして優しい最上級生でした。1年生に折り鶴の折り方を、目線を下げて、優しく声を掛けながら、一つ一つ丁寧に教えていた姿を思い出します。
 また、日々の授業や、生活の中での友達同士の関りもとても優しく、仲間思いでした。誰から見ても、手本となる素晴らしい6年生でした。
 皆さんの言動、そして、身をもって示してくれた、江波小学校の最上級生としての姿は、この卒業式には参加できませんでしたが、5年生のみなさんがしっかりと受け継いでくれるはずです。
 さて、今の世の中は、「生きづらい世の中だ」と言われることがあります。自分とは違う考えを執拗に攻撃する風潮。他人の過ちを徹底的に責め、許さない風潮。これらは、マスコミの報道、ネットへの書き込みなどからも分かります。このような風潮が続くと、今後、これまで以上に人に対して厳しい社会が来ることが予想されます。しかし、このような厳しい社会が来ることを、本当にみんなが望んでいるのでしょうか。もっとみんなが「生きやすい優しい世の中」にすることはできないのでしょうか。一人一人の生き方や心がけで、世の中を変えることはできないのでしょうか。
 これから、2つのお話をします。1つ目のお話は、ある病院のある看護師さんのお話です。
 ナースコールって知っていますか。患者さんが体調に異変を感じた時や、用事があるときに手元のボタンを押して看護師さんを呼ぶシステムです。看護師さんは、ナースコールが鳴ると、今やっている仕事を中断し、患者さんのもとへ駆けつけます。どんなに忙しくても駆けつけます。しかし、時には、間違ってナースコールを押してしまう患者さんもいるそうです。
 この看護師さんの病院でも同じように間違えて押してしまう患者さんがいるそうです。その患者さんは、とても申し訳なさそうな顔をして何度も謝ります。この看護師さんはこの患者さんにどのような言葉をかけるのでしょうか。「今度から間違えないでくださいね」と言うのでしょうか。「忙しいので気を付けてくださいね」と言うのでしょうか。この看護師さんは、次のように言うそうです。「ちょうど、お顔を見たいと思っていたので呼んでもらってよかったです。またお邪魔してもいいですか。」
 看護師さんが、そう声をかけると、患者さんは笑顔になります。相手の気持ちに寄り添い、負担を感じさせない思いやりのある言葉です。
 2つ目のお話です。
 北海道帯広市のラーメン屋さんのお話です。このラーメン屋さんは、子ども連れのお客さんに向けて、次のような貼り紙を壁に貼っています。
 「お父さん、お母さんが順番に食べられるように、ラーメンをお出しするタイミングをずらしてお持ちいたします。どうぞ遠慮なく申し付けください。」そして、その下には、「せっかくの外食なので、お子さんが散らかしても大丈夫です。遠慮なく子どもを泣かせてください」と書かれているそうです。ラーメン屋さんのご主人にこの貼り紙のことを聞くと、次のように話されたそうです。
 「せっかく大好きなお父さんお母さんとご飯を食べに行くときぐらい、怒られたり、注意されたりすることなく楽しく、美味しく過ごしてほしい。お父さんお母さんも、お店や他の人に気を遣うことなく、気持ちに余裕をもって子どもに接してほしい。人から叱られたりする『ピリピリした空気』を子どもに味わわせたくない。子どもがうるさくするのは楽しいから。うちの店にいる間は楽しく美味しく過ごしてほしい。」
と話されたそうです。子どもが泣かないように、騒がないように気を付け、いつも子どもに先に食べさせて、その後に冷めてのびたラーメンを食べていたお父さんやお母さんはこの貼り紙でどんなに気持ちが楽になることでしょうか。
 1つ目の看護師さんのお話も、2つ目のラーメン屋さんのお話も、共通することは、人の失敗や上手くいかないことを責めるのではなく、相手が今どんな気持ちなのかを考え、そして、その気持ちに寄り添い、相手が嫌な気持ちにならないようにするには、自分はどうしたらよいのだろうかと考えて、行動していることです。
 このように人を思いやり、寄り添うことは、どんな時代になろうとも、人として、大切なのではないかと思います。
 今、ここにいる卒業生の皆さんは、このコロナ禍で苦しい時期を一緒に過ごし、お互いに優しく支え合った仲間です。卒業後も、一緒に過ごした仲間を大切にし、相手を思いやり、相手に寄り添い、「生きづらい世の中」ではなく、失敗や間違いが許される、みんなが「生きやすい優しい世の中」を作っていってほしいと思います。
 保護者の皆さま、本日は、お子さまのご卒業、誠におめでとうございます。長きに渡って、本校の教育にご理解、ご協力いただきましたことに、深く感謝申し上げます。手塩にかけて育てられたお子様の、今日の晴れ姿に、6年前の入学の日の幼い姿も重なり、お喜びや感激もひとしおのことと拝察いたします。
 これまでの6年間、様々なことがあったと思います。どのような時にも、保護者の皆様は、必ず子どもの味方になり、励ましていただいたのではないかと思います。この安心感ほど、子ども達に勇気を与えてくれるものはありません。これからも温かく、時には厳しく、子どもたちの成長を見守っていただきますよう、お願い申し上げます。
 卒業生の皆さん。皆さんの前には無限の可能性が広がっています。優しさを大切に、自信をもって堂々と歩んでください。
 皆さんの未来が、光り輝くことを心からお祈りし、贈る言葉といたします。

       令和4年3月18日
       広島市立江波小学校長 阪田 淳二

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