最新更新日:2024/06/13
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子どもに自己実現力を

知るということ

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 10月初旬のことです。学園桟橋前公衆トイレ横の銀杏の木に,いつの間にか大きなキイロスズメバチの巣ができあがっていました。先日も三原市で小学生が被害に遭ったばかり。本校の子どもたちも勿論ですが,似島少年自然の家を利用する方々,島に散策や釣りに来る方々の安全確保のために,早速関係機関に駆除をお願いしました。

 それにしても立派な巣です。バスケットボールより大きいくらい。
 キイロスズメバチにも彼らの生活があります。特にハチは非常に完成された機能的な社会を形成しています。役割分担が明確で,その役割だけを果たすために生きている。厳しい社会でもあります。彼らにどれくらいの意思・思いがあるのかわかりませんが,きっとそれぞれの個体にドラマがあるのだろうなと想像します。
 しかし,私たちが彼らを意識するのは目の前に現れたときのみ。そして危険であるという一言でやたら殺虫剤を撒いたり速やかな駆除を要請したり。目の前から消し去ることにだけ懸命になり,知恵を働かせます。したがって,私たちがキイロスズメバチについての知識として得るものは,その危険性,効果的な撃退法・駆除法など,自分の敵という観点からのみです。これでは十分に彼らのことを知り得たとは言いがたい。
 キイロスズメバチに限らず,世の中に存在するすべての事物・事象には様々な顔があり,背景があります。芝居がかった言い方をすれば,それぞれのドラマがある。キイロスズメバチが人間にとって危険な生き物であるというのも真実ですし,秩序の整った機能的な社会を形成した合理的な生き物であることも真実でしょう。家族同士の愛情のようなものすら存在するかもしれません。身体の機能的な面から見ると,昆虫界の頂点に近い美しいものだという見方もあるでしょう。
 子どもたちの教育に携わる立場にある私たちは,常に多角的・多面的なものの見方・とらえ方ができるように意識していなければならないと考えました。

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