最新更新日:2024/04/22
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子どもに自己実現力を

目の前の現象

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 先日,体育館前をイノシシが荒らし,かなりの範囲を掘り返していました。
「ああ,なんてことだ。」
「これは驚いた。」
「いや,なに。これは君,つまりはイノシシはミミズを食べるんだ。きっと腹を空かせたイノシシたちが大勢で掘り返し,ミミズを食べたのに違いあるまい。ミミズは貴重なタンパク源なのだからね。」 
「なるほど,きっとそうだ。いやはやイノシシの食欲は相当なものだ。ミミズまで食べるんだから。」
「そうなんだ。何と言ってもイノシシの肉は臭みがあるからね。僕はもう,ぼたん鍋は食べる気がしなくなった。」
 『注文の多い料理店』風に言えば,こんな会話が繰り広げられたところです。

 とんでもない誤解でした。イノシシはミミズをそれほど好んで食べているわけではないそうです。ミミズがタンパク源として栄養価が高い生物であることは間違いないのですが,イノシシの掘り返し行為は,空腹を満たしたイノシシが遊んだ跡なのだそうです。お腹がいっぱいになって,瓜坊も一緒に家族で土を掘り返して遊んでいる姿は可愛らしくイメージしてしまいます。実際,彼等はもっと文化的で,食後の遊びとして地面を掘り返し,適度な運動としていたわけです。いずれにせよ,人間にとって迷惑であることには変わりないのですが……。
 現象だけを見て,最近の島の状況から勝手に飢えてうろうろ食べ物を探し回っているイノシシの姿を想像し,浅ましくミミズを食らっているに違いない彼等の姿をイメージした自分を少し恥ずかしく思いました。
 私たちは目の前に現れた現象だけを見て,先入観や既成概念から物事を決めつけて判断してしまうことがあります。目に見えることは確かに印象強く感じます。イノシシの心が傷つくことはないでしょうが,これは気をつけなければなりません。
 目の前の現象は,それ以上のことを表現しているわけではありません。即断即決が必要である場合を除き,物事を判断するときは,じっくりじっくり観察し,判断の器から溢れるほどの情報を集め,精査した上で行わなければなりません。
 

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