最新更新日:2024/04/23
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校訓「やさしく つよく ただしく」  学校教育目標「創造・挑戦・前進する段原っ子の育成」  

学校だより 3月号

進級・進学に伴う新しい環境への適応
子供たちは,それぞれ進級・進学の新しいスタートを迎えます。そこでは,学習,生活,人間関係などの新しい環境に適応していくことが求められます。特に,中学校に進学する6年生は,小学校と中学校の環境や文化の相違から,不安や不満が増大する「中1ギャップ」の問題に直面することになります。
「中1ギャップ」とは,中学校入学後に学習面や生活面での大きな変化にうまく適応できない現象です。たとえば,学習面では,教科担任制になる,定期テストがあるなどがあります。教科ごとに指導者が異なるので,授業の進め方やノートの取り方も違い,各教科教員の指導法に慣れなければなりません。小学校と違って学級担任と共に過ごす時間が少なくなることから,学級担任との距離を感じやすくなります。また,各教科が中間,期末の2回の定期テストで一斉に実施されるため,学習内容の広がりと難易度の高まりに応じた学習法の習得が必要になります。学力差が顕在化し,自分自身の集団における相対的な学力をより具体的に知るようになります。
生活面では,人間関係に変化が生じる,校則や生活指導が厳しくなる,部活動が本格化するなどがあります。異なる小学校から集まった人間同士による友達関係をつくり上げたり,既存の友達関係をつくり直したりすることは大きなストレスとなり,携帯やメールによるトラブルも増えます。細やかな校則が増える一方で,自分で考えて行動する自律が求められ,子供が双方の矛盾の中でより良い自分のあり方に戸惑う場面が多くなります。部活動や登下校に多くの時間を要することになり,部活動においては,先輩と後輩の上下関係が出現し,そこでも自分が守るべき対人関係のコミュニケーションに関わるルールが増えることになります。
これらの学習面,生活面での変化とともに,心身の発達面でも第二次性徴が現れる時期となり,身体的,精神的に大きな変化のある思春期を迎えます。
「中1ギャップ」を克服するためには,人間としての適応力,耐久力,回復力,柔軟性などが大切になります。このストレスを跳ね返す能力・態度を獲得するための要件として,次の4点がいわれています(久世2014)。
第1に,結果に対して一喜一憂するのではなく,課題を黙々とこなし,些細なことに落ち込んだり,いらいらしたりしないことです。こつこつと努力する勤勉さ,まじめさ,粘り強さが求められるとともに,自分の良さや強みを自覚させていくことが大切になります。第2に,自分を大切に思える気持ち,自分には価値があるという気持ちをもって,自分にはできない,無理だというように考えないことです。この気持ちを育てるためには,学習や生活において子供自身が自分で決める場と,活動の過程におけるまわりの肯定的な評価を行うことが必要になります。第3に,失敗しても次はできる,もう少しがんばればできると思うことです。失敗の中のわずかな成長・進歩に着目し,成功体験とそれに伴う達成感の積み重ねが重要になります。第4に,いつかなんとかなる,たぶんうまくいくと,問題や困難に対してくよくよせず,前向きに考える楽観性をもつことです。ここでは,傷ついてもすぐに立ち直る,嫌なことをいわれてもじきに忘れる適度な鈍感力が求められます。
未来に向かう新たなスタートは,一方では異なる環境への適応という側面をもっており,見方を変えれば,適応力,耐久力,回復力,柔軟性などこれからの予測困難な社会を生き抜く能力・態度を養う貴重な教育の場面でもあります。これは,「中1ギャップ」のみならず,小学校進学における「小1プロブレム(問題)」,高等学校進学における「高1クライシス(危機)」においても同様であり,次の学年に進級する子供たちにとっても,少なからず存在する壁といえます。
子供たちが,自分と友達を大切にし,感情のコントロールをしながら,いつかできると信じて前向きに取り組み,進級・進学の環境変化を必ず乗り越えるように,3月は学年のまとめ・小学校の集大成をしていきます。

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広島市立段原小学校
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